ヤンヤンデレデレ



――


田んぼから脱出するのに一時間はかかった。水を含んだ田んぼなど、底なし沼に等しい。


『早く上がっておいでー』と能天気ながらも、我が子を谷底に突き落とす親虎は上がってきた子を、また突き落とす笑顔をしていた。


何とか回避しつつ、院まで逃げ帰ってきた訳だが、明日、見舞いに行った際に謝罪を口にしなければ、またやられるかと瑞希は内心ハラハラしていた。


「……、くそっ」


一方で苛立つ。

悪いことをした自覚がない瑞希。泥を洗い落とし、未だ乾かぬ髪をバスタオルでわしゃわしゃする手つきが荒い。