歩道と車道の区切りもない、緑と泥の匂いが混じりあった帰路。
田植えの時期がため、水を多く含んだ田んぼがより匂いを酷くする。
「先生は、俺を信じてくれないんですね……」
顔を下げ、落ち込んだような素振りをする瑞希。手を繋ごうとすれど、瑞希は手を払う。
「前の孤児院の時もそうだ。俺は何もしてないのに、みんな、悪者にして」
田植え機が彼らを通り過ぎる。とつとつと話す瑞希の言葉は、重いタイヤの音で塗りつぶされた。
となれば聞き返すのが定石だが。
「嘘は聞きたくないわね」
端的に、瑞希を信じない理由を口にする。
「被害者ぶるのはやめなさいねぇ。前の院では、“そんな体裁”でやってこられたようだけど。――信じてほしいなら、こっちを見なさい」
嘘をつく奴は弱者を気取り、信じて欲しいものは必死となって相手に訴えかける。


