円満解決ではなくとも、こじれた話にはならない。終わったことにしようとした学校側であったが、瑞希の保護者――あすなろ院、院長は今回の件で、相手方にかかる治療費を全て出すという。
加えて謝罪。無罪放免となる瑞希をあえて、加害者にするその答えに誰もが首を捻ったが、院長の意思は頑なであった。
別段、院長以外の誰も損するわけではなく、当人がそうしたいならと彼女の意見は通ったが――一つだけ、通らない意見もあった。
「今日、『ごめんなさい』出来なかったから、明日はしましょうねぇ」
相手方が入院する病院へと行った帰り。ずっと無言であった瑞希に、先生は声をかけた。
A町にあるあすなろ院は、町外れにあるため、二人は現在、田んぼに囲まれた道を歩いていた。


