「ちょっとだけ、趣向を凝らそうか」
「へ……?」
握っていた手を離し、ベッドの柱にかけていた手錠を彼女の手首にはめる。――両手首に。
「え、え……!」
いつもなら片側は瑞希の手首なのに、と混乱する誉に笑っておく。
「前に誉、俺の背中を引っ掻いたって泣いたから」
情事中、果てる寸前に彼の背中に回した手に力が入ったための事故。瑞希は気にしていないが、翌朝誉は「ごめんなさいっ」と自身の背中を引っ掻こうとした(届かず未遂だが)。
「それ対策」
手錠で拘束された手は万歳の姿勢。動かぬように片手だけでも押さえつければ。
「み、瑞希さんっ、ぎゅうってできませんっ」
甘えたがりな誉にしては拷問に近かった。


