麗しの彼を押し倒すとき。



久しぶりにそろった幼なじみ達を見回して、ふぅ…と小さく息を吐く。


9年前はこんな男だらけの光景考えられなかった。

信じたくはないけれど、今私の置かれている現状は女1人。そういうことらしい。



「波留、その頬どうしたわけ?」


さっきの飴は舐め終わったのか、なっちゃんが新しい飴の包装を取って口に入れた。



「…あぁ、約束破ったからって美香リンにひっぱたかれた」

「誰それ」

「3組の子」

「波留も飽きないね」


なっちゃんが呆れたように笑った。

波留くんは情報をさらさらと口にしながらも、その美香リンにはあまり興味の無いように見える。

今はそれよりも何か気になることがあるのか、椿の方をじっと見つめると口を開いた。



「てかさ椿、」

「なに」


いつもの事なのか、椿はパソコンをいじりながら顔を上げずに返事を返す。



「何で柚季っちが帰ってくること黙ってたんだよ」

「別に、言わなくても気付くだろ」

「気付かねえよ。10年くらい離れてたんだから」


「な?」と波留くんが不意に、私に同意を求めるように視線を向ける。


それに苦笑いを返すと、満足そうに微笑み返された。