麗しの彼を押し倒すとき。



「おい、聞いてる?」

「……」

「なあ、柚季今どこにいるわけ?もうこっち来てんの?」

「お前の隣」

「は?」

「お前の隣にいるだろ」


うんざりしたようにため息を吐いた椿は、これ以上聞くなと言うようにパソコンに向き直った。

視線を感じて顔を上げると、びっくりしたような波留くんと目が合う。



「え?……は?柚季っち?」

「ひ、久しぶり、波留くん」

「どういうこと?」

「……桐谷柚季です」

「…………はぁ!?」


度肝を抜かれたといった感じの姿に苦笑いを返す。

波留くんももしかしたら相当なボケなんじゃないか。

固まって動かなくなった彼に、私はそう思わずにはいられなかった。