麗しの彼を押し倒すとき。



あ、これチョッパチャップスだ。
懐かしいな。そういえばなっちゃん、よくこの飴食べてた気がするな。

包装された丸いキャンディーを手に取ると、どこか昔を思い出す。



「なっちゃん、はい」


手にあったチョッパチャップスを差し出すと、なっちゃんは少し困ったように受け取り、「ありがと」小さな声で短く言う。


…あ、今のなっちゃんぽかったかも。

意外にも素直なその姿は、少し昔のなっちゃんが垣間見れて、ちょっとだけ嬉しくなった。


久しぶりの再会は懐かしくてくすぐったい気持ちになる。

こうやってみんなが集まる場所に私がいること、それが何だか昔と重なって、昼間に凪ちゃんが言ってくれた「おかえり」を思い出した。


とはいえ、なっちゃんはまだ私のこと信用してない様子だし、椿はパソコンに夢中だし、凪ちゃんはと言うと……



「……何?」

「なっ、なんでもない!」


こんな感じで無表情で、なに考えてるかわかんないから妙に緊張するし。

みんな久しぶりに会ったのに多くは語らないため、沈黙が増えてどうしたらいいのかわからなくなる。

そもそも椿が私をここに連れて来るのだって、2人は知らなかったみたいだし。


ちらりと椿を盗み見ると何か作業をしてるのか、キーボードをものすごい速さでタッチしている。

ほのぼのとした空間に反するような指の動きをみていると、とても同じように時を刻んでるとは思えなかった。