麗しの彼を押し倒すとき。




珈琲のいい香りが漂う店内。

ジョニーさん曰く、私特製に作ってくれたらしいスペシャルのコーヒーをかき混ぜる。



「ねぇ、本当にあの柚季ちゃん?」

「そっちこそ、本当にあのなっちゃんなの?」


疑うような視線に、私だって信じたくない!そんな思いで返す。




「「……ぜーったい違う!」」


「ハモるな!」

「ハモんないで!」


私たちはお互いにふんっと顔を背けた。



「柚季、棗に早く会いたいって言ってただろ」


隣に座ってた椿がどこから取り出したのか、パソコンを操作しながらちらりと一瞬だけ視線を寄こした。

図星を言われ、心臓の奥にうっ…と突き刺さる。



「お前達昔は、鬱陶しいくらい仲良かったのにな」


……それは女の子だと思ってたから!

思わず叫びそうになった言葉を抑え、ちらりと横目であいつを見た。


あぶないあぶない。

そんな事知られると、次はさっきの100倍くらい毒を吐かれそうだ。


私はスペシャルコーヒーを口にすると、可愛げのなくなった目の前のなっちゃんにため息をついた。