麗しの彼を押し倒すとき。



椿が席に座り、その横に私も腰掛ける。



「……ねぇ、凪も椿も今日その女連れてちょろちょろしてるけど、誰なのこいつ」


奥に詰めるとちょうどパーマ男の前に座る形になった。

彼はむすっとした顔で私を見ると、悪気なさそうに悪態をつく。



「ねぇ、何が目的? 見かけない顔だけど……痛い目見る前に消えることだね。
あ、もし勝手にうろついてるならさ、凪たちはキツく言わないかもしれないけど、俺は違うから。お前なんて指で軽く弾いてゴミ箱へポイだ」

「……はあ!?」


可愛い顔に似合わない言葉をつらつらと吐き出し、口から引っこ抜いた棒キャンディーで差されて、
早くも我慢の限界に達した私は身を乗り出すと、棒キャンディー男を睨みつけた。


さっきから聞いてれば、別に危害を加えたわけでもないのにこいつだの、お前だの、その女とか、聞いていて腹が立つ。



「なんなのさっきから!こいつこいつって私にだって名前あるんだけど!」


今日一日の鬱憤を晴らすように口にすると、私の勢いに一瞬少し驚いたような顔をする。

だけど直ぐに元の表情になると、喉をクッと鳴らし口の端をあげた。



「そんなこと叫ばなくても幼稚園児でも知ってるよ」

「なっ!」


む、むかつくー!



「なによ、この女男!」

「はぁ!?」


私の言葉のチョイスがよっぽど気に入らなかったのか、彼は初めて声を上げると眉をぴくぴく痙攣させて立ち上がった。



「だれが女だって?」

「女とは言ってない!女男っていったの!」

「一緒だろ!」

「一緒にしないで!」


私も同じように立ち上がった。