麗しの彼を押し倒すとき。



「よし、じゃあ柚季ちゃんには特別に、ジョニー特製スペシャルコーヒー。ミルクたっぷり生クリームを添えてを作って……って、おい最後まで聞けよ!」


椿はまだ話を続けているジョニーさんと呼ばれた男を無視すると、私の腕を引いて奥へと進む。

小さく見えた店内は、奥行きがあって意外と広かった。



「遅かったね、椿」


しばらく進むと、何処かで聞いたことあるような声が耳に届いた。



「あぁ、柚季が足怪我しててな」

「……柚季?」


椿の背に隠れて前が見えず、ひょこっと横から顔を出す。

思わず広がった光景に息を飲んだ。



「あ、さっきの女……」


ボックス席に腰掛ける2人の男。

1人は私がよく知っているはずの、幼なじみの凪ちゃん。

そしてもう1人、クリームイエローのふわふわパーマの髪。可愛らしい顔で棒キャンディーを咥え、舌でころころと転がす……男。

何処かで見たことあると思ったら、凪ちゃんに旧校舎へ連れて行かれた時、3-Eと教室札のかけられた部屋に、剃り込みの男と一緒にいた人だった。