麗しの彼を押し倒すとき。



特に必要のない情報をたくさん盛り込んで来た割に、自分の年齢は言わなかったとこからして、年は公にしないってことだろうか。



「はい、じゃあ柚季ちゃん。あとはこれ貼ってあんまり無理しないようにね」

「……どうして私の名前、」


湿布を差しだした桃子先生に、まだ自己紹介をしていなかった私は驚きつつも、湿布を受け取り患部へと貼り付ける。

そんな私の様子を見ながら腕を組むと、得意げにその大きな胸を張った。



「言ったでしょ?生徒の情報は何でも知ってるって」

「あ、そっか」

「……まぁ、その生徒からいつも情報提供してもらってるんだけどね」


最後におどけたような表情を作るとマグカップを手に取り、中のコーヒーを口にする。


生徒ではなく先生だけど、この学校へ来て最初に喋った女の人が桃子先生で良かったと思った。



……と、そこでさっきまで一緒にいた凪ちゃんの姿がないことに気がついた。



「あれ…?」

「どうしたの?」

「あ、その…凪ちゃんがいないなって…」

「ほんと、どこ行ったのかしら?」


教室に帰ったのかな。

もー、聞きたいこと山ほどあったのに。


そう頭に浮かんだのと、ベットの横に取りつけられたカーテンが開かれたのはほぼ同時だった。