「ん? どうしたの、痛む?」
何も言わない私を気にしてか、ソックスを下ろしていた手が止まり、彼女が不意に顔を上げた。
栗色の巻髪に整えられた眉、垂れ気味の目。
ぷっくりと厚めの唇、そしてその横にあるほくろがとても印象的。
セクシーとか色気とか、そういった類の言葉は全部、この人のためにあるんじゃないか。
そう勘違いしてしまいそうなほど、ピッタリと当てはまる。
何より特徴的な声と、その身体。
……保健室の先生とかしてて大丈夫なの?
この特殊な環境下とその容姿に、そう突っこみたくなってしまう。
「あら、あなたもしかして噂の転校生?」
まじまじと見つめてしまっていた私に、先生が少し驚いたように言った。
「噂……?」
不安になって小さい声で聞き返した私に、「えぇ、何か水瀬くんを今朝校門でふっ飛ばした子がいるって聞いて…」先生は物騒な事を口にする。
「えぇ!? 先生それ逆! 逆! 私が波留くんにぶっ飛ばされたの」
「え? そうなの?」
「まぁぶっ飛ばされたって言うより、事故に近いんだけど……」
「あら、そう」
謝った情報が流れていると知って慌てる私とは対照に、先生は、「まぁ、どっちでもいいわ」呑気に笑って手当に取り掛かる。

