麗しの彼を押し倒すとき。



どうやら凪ちゃんはこの写真を見せる事で、私と“彼”の繋がりを結ぼうとしたのだ。


写真の中で可愛らしく笑う凪ちゃんと、もう真顔に戻ってしまった凪ちゃんを見比べて、同一人物とは思えないその変貌ぶりに、この数年で何が起こったのだと不思議になる。


……大体なんで、今の今まで男と気がつかなかったんだ、私。

確かに写真の中の凪ちゃんは目がくりくりしてて、身長も私よりか少し小さいように見える。

女の子だと言われれば、知らない人はそうだと思い込むだろう。

だけどどうして今まで気がつかないんだ。

数年前の自分のボケっぷりが恐ろしい。


じっくりと写真を見ながら当時のことを考えていると、不意に伸びて来た手が私の右足首に触れた。



「……った…」


軽く力を加えられて口から言葉がこぼれると、少し驚いたように素早く力が解放される。



「ちょっと、いた……きゃあっ」


文句でも言ってやろうと口を開いた私の言葉は、最後まで紡ぐことを許されなかった。

ふわりと身体が持ち上がる感覚に怖くなって、何でもいいからとしがみ付く。

膝の裏と背中にするりと手が回ったかと思うと、凪ちゃんが私を抱きかかえ歩きだしていた。


そのまま扉の前まで近づくと、彼はこの部屋を出ようとドアノブに手をかける。

一瞬の出来事に戸惑うも、さっきこれよりとんでもないことが起きたためか、意外と頭は冷静に働いた。



「ちょ、ちょっとなに!? てかパンツ見える!」

「……あぁ、白いパンツ。あれなら大丈夫」


ひらひらと風を受けてなびくスカートを慌てて手で押さえようとすると、デリカシーが無いのか凪ちゃんはそんな事を口にする。