麗しの彼を押し倒すとき。



「へ、変態!」

「別に、女のパンツなんて見慣れてる」


…はぁ!?

それってどういう意味!

頻繁にパンツ見るようなことしてるってこと!?


口の端がぴくぴくと痙攣を起こす。

あまりに予想外の返答で次の言葉が出てこない私に、彼は少し目を細めると、「そんなとこで何してんの?」 今一番触れて欲しくない事柄にあっさりと触れてくる。



「……べ、別に。ちょっと高い所に登りたくなっただけ」


まさか今から逃げようとしていました。そして降りられなくなりました。なんて、言えるわけがない。



「柚季、高い所苦手だっただろ」


苦し紛れに発した言葉は、彼の的を得た返しに一蹴されてしまった。



「なんで知って……」


ゆっくりと、けれど真っ直ぐに差しだされた彼の手が、拾って欲しそうに私の視線を誘う。

その思惑通り、思わず一回り大きい手の上に自分の手を重ねてしまうと、口の端を微かに持ち上げた彼にきゅっと優しく握られた。

初めて見せたその微笑みに、なぜか顔に血液が集まっていく。


と、とりあえずこの場所から降りよう。


色々信用できない事が多いのは確かだけど、手を差し出してくれたことだけは感謝しようと思った。