麗しの彼を押し倒すとき。



「うわ…思ったより高い」


自分の身長にプラスしてデスクチェアの高さが加わって、予想以上の高さに情けない声が出た。

高所恐怖症なんていらないお荷物を背負っている私にとって、これ以上床と離れるなんてことは結構な拷問だ。

けれど今そんな私を突き動かすのは、高所での恐怖よりも、あの不良の巣窟に送られる恐怖の方が勝っているから。

とりあえずへっぴり腰になりながらも、黒いカーテンを開いた私はやっとその窓枠へと手をかけた。…が、



「うっそ…」


開かないどころか窓には鍵すら無く、やっぱり光を取り込むためだけの窓だと知る。

希望を持って苦手な高い所まで登らせたのに、神様も酷だな、なんて思いながら溜息を吐いた。



「……白」

「…へ?」


し、ろ?


突然背後から短く聞えた声にゆっくりと振り返る。

視線を徐々に下へ落とすと、そこにはあいつが無表情で立っていた。そう、鮫島凪と名乗るあいつ。

交わらない目線を不思議に思い、彼の視線の先を追うと、ちょうど私のスカートの終わり、それは太もも付近を捉えている。



「…なっ!」


白ってパンツの色かっ!


人間本当に驚くと、叫び声なんて出ないらしい。

声にならない声を発した私は勢いよくスカートを押さえると、目線を上に移動させた彼に瞳を捉えられた。