麗しの彼を押し倒すとき。



「よし、じゃあついて来い」

「はいっ!」

「ははっ、良い返事だな」


緊張する私を見て、ふなもっちゃんがおかしそうに笑う。

これからまた編入生としての日々が始まる。

そう思うと、胸がどくんと反応した。



「……大丈夫とは思うけど、頼むからお前はブレないで平和に過ごしてくれよ。問題児はあいつ等くらいで十分だからな」

「え?」


ふなもっちゃんが呟いた最後の方の言葉は、鳴り始めたチャイムの音で掻き消されてよく聞こえなかった。

でも緊張していた私にとっては、聞こえないくらいでちょうど良かったのかもしれない。



「じゃあ、軽く自己紹介よろしくな」

「あ、はい」


ふなもっちゃんと柚羅の話をしながら歩いていると、あっという間に教室の前についていた。

2-Cと教室札がかけられていて、静かにこれから私の一部となることを証明していた。

ざわざわと中から洩れて来る笑い声に少し緊張してしまう。

心臓のリズムが速くなるのに比例して、握った拳に力がこもった。