麗しの彼を押し倒すとき。



「ほんとにこんなんで良かったの?」


少し腑に落ちない彼に「うん」とだけ返す。

ほんの十分前に新しい学校の地面とキス……なんてハードな原因を作った彼に、私がお詫びとして提示したのは、職員室につれていってもらうことだった。



「こんなのすぐ終わるじゃん」

「まぁ…そうだけど。結果私だって助かってるし、ぶつかって来たのが水瀬くんで良かった!」


安心したのもあり笑顔で本心を伝えると、なぜか彼は頬を軽く染めうろたえる。



「ちょ、何その笑顔かわっ……」

「え?」

「……じゃなくて。 いや、それは嬉しいよ?
けど俺としてはもっとさ、こう…柚季っちと仲良くなりたいんだけど」

「……ねぇ、その柚季っちってなに?」


私の頬に手を当て、なぜか一歩、二歩と距離を縮めていた彼の動きが止まる。

またも視界のほとんどを奪っている彼は、少し残念そうに眉を寄せた。