麗しの彼を押し倒すとき。



アッシュの空気に溶けてしまいそうな髪色に、緩くかかったパーマ。

彼は顔を上げたあたしをまじまじと見つめると、少し考えるように眉を寄せる。

風に吹かれて揺れる彼の髪を見つめ、その先の言葉を待った。



「ね、何がいい?」

「え?」


急な質問に、とぼけた声が出た。

だけど彼は少しの戸惑いも見せず、あたしの頭の上に優しく手を乗せくしゃりと撫でると、



「やっぱ悪いから、何かお詫びすることにした」


妖艶な笑みをたたえ、あたしを見下ろした。

きっとそれは、平和な日常に終わりを告げる言葉だったんだろう。