聞こえているのかいないのか、それともそんな事はどうでもいいのか、彼はあたしの顔に付いた砂を優しく払い、「立てる?」眉をしかめる。
綺麗な二重にアーモンド形の目。
その奥の澄んだ瞳には、私に対する悪意など微塵も感じられない。
私は彼の瞳から視線を周囲へと移すと、周りを軽く見渡した。
今のところ彼自体に悪気があるようには見えないけれど、少なくとも野次馬の中の女子たちは私が疎ましくて仕方ないようだ。
「ねぇ、ほんとに大丈夫?」
「あ、はい…大丈夫です」
心なしか右の足首が熱を持っている気がするけれど、そんな事を言えば今よりもっと大きな騒ぎにされそうだ。
意外にも冷静に働いた頭にそう答えると、彼はその顔にゆるい笑みを浮かべた。

