「次の停留所は桜町1町目…」 バスのアナウンスが頭の中に響くと同時に、夢を見ていたオレは現実へと引き戻された。 嫌な夢を見たな… 目を開ける。 少し涙ぐんでいたオレの視界に飛び込んできたのは 非日常的なもの、少なくともオレには、だった。 窓から見える夕焼けをバックにして、つり革を掴みオレの前に立っている男性。 茶色い髪。 少年のような目。 オレと同じように、その目には涙が溢れている。 まるで、どこかの青春映画の一場面を見ているようだった。