「コイツ、ただ単純に遊びに来たんじゃないんです」



イフェフィアは隣で小さくなっているザクザガエルを見た。



ザクザガエルはいじけたのか、その場から離れて廊下から一歩出たらすぐの庭園へ出ていった。




しゃがみこんで、意味もなく花を摘み始める。




「遊びに来たわけではない……というと?」



庭で花を摘むザクザガエルを眺めながら、ミカエルは長い金髪を耳にかけた。




「この後の方舟保管地視察、ザクもミカエルさんに同行するよう命じられたんです」




「────…!そうなんですか??一体………」




「私にもよく分かりませんが、きっとお上の気まぐれでしょう」




『気まぐれ』、その言葉にミカエルはほころんだ。




────本当に自由な御方だ。




「ザクザガエル!参りますよ!」



ザクザガエルは花を摘んでいた手を止めて、ぱっと笑顔になった。


両手を広げて飼い犬のようにミカエルの元へ駆け寄ってくる。




「ミーたん大好きーーっ!!」




それをきいたイフェフィアが眉間にしわを寄せてこう言った。




「今後一切言葉を発するな」