「御前会議以来しばらくでしたね」



ミカエルはつかつかと神へ近寄っていくと、ある程度の距離をとって片膝をついた。



イフェフィアとザクザガエルもあとに続き、ミカエルの左右に着いた。




「もっと近くへおいでよ!ずっと僕は暇してたんだ」



神は二十代くらいの男性だろうか、とにかく、外見に似つかわしくないくらい子供らしい口調と身振りだった。




言われるがままに三人は神の目の前まで歩むと、神は座ったままミカエルに両手を伸ばした。



ミカエルがそれに応えるように屈み、神は手のひらで優しくミカエルの頬を撫でた。




「僕のミカエル、大切な大切なミカエル」




神はぎゅっとミカエルを抱き寄せる。




「僕を独りにしないでね、絶対、絶対…」




「もちろんですよ、御前」




ミカエルは優しく神の腕をほどくと、綺麗な声でこう言った。




「先ほど、ノアの方舟を拝見して参りました。そこで建築士にお会いしたのですが、なんでも方舟の復元を依頼されたそうです。御前のご意向でしょうか」




神はこれといって驚いていない様子で知らないよと言った。



「では………誰の思惑でしょう」



「誰だっていいよ。僕もノアの方舟が綺麗になってくれるなら嬉しいし」




「ですが……」




隣でイフェフィアも悩ましげな顔をした。



「誰だかわからないが、任せようじゃないか!復元をすすんでやってくれる人に悪い人なんていないと思わない??」




納得しきれない表情の三人とは対照に、神は楽天的な態度を示していた。