ラン先輩と、デートの約束をした。

その日、母さんは、倒れた。

体が弱かった母さんには、よくあることだった。

俺はとりあえず病院に連れて行った。

・・・時間を気にしながら。

医者は言った。

『キョウくんは、お母さんの体が弱いこと、知ってるよね?』

俺は言った。

『・・・余命宣告すか』

医者は、随分と大きな間をおいて、答えた。

『・・・もう、2日ももたないかもしれない』

俺は、泣いていた。
いや、正確には、涙が流れていた。

『今は安定してるから、約束に行ってきなさい』

俺がしきりに時計を気にしているのを見て、感づいたのかもしれない。

俺はラン先輩のところに行った。

ラン先輩は俺を気遣ってくれた。

お母さんのところに、って。

俺は、母さんのところに走った。