(じゃ、わたしもそろそろ帰ろうかな) いつの間にか人も少なくなった教室を出ようと、扉に手をかけた その時。 「あ、」 後ろから、短く、声がした。 「タマイ、さん」 「?」 わたしの名前を呼ぶ声が聞こえて、 くるりと振り返る。 「タマイさん…であってる、よね?」 「うん。タマイノノカ、です」 「あぁ、俺は、ナリセコハク」 ―… 声の主は、成瀬くんでした。 「どうしたの、成瀬くん」