「頭突きー ―…?」
首を傾げる成瀬くんをうしろに
わたしは体育着を持って教室を出た。
***
「ちょっと、希花!」
「どうしたの、千瑛(ちえ)ちゃん」
「どうしたの、じゃないよ!」
6時間目の体育が始まるまで、
時間がないっていうのに
わたしの仲良しの千瑛ちゃんは
更衣室で着替えもしないで
手をぶんぶん振り回している。
「ちょっと、あんたいつから
成瀬琥白と仲良くなったの?」
「え?」
成瀬くんと?仲良く?
「んー…?」
「さっき何か喋ってたじゃん、
しかも何かあげてたじゃん!」
「あぁ」
「あたしも見たー!」
「びっくりしたよー」
「え、玉井さんあの成瀬と喋ったの?」

