「ありがとう」



「?」



「絆創膏。お礼言ってなかったから」




あぁ、別に押し付けたような物だし
お礼、なんていいのに。





「じゃ」



そう言うと、成瀬くんはわたしの横をするりと通り抜けて廊下に出て行った。





(なんか、成瀬くんって不思議)

私は、全然話しかけずらくはないけど。




(でもって、意外に真面目?)

お礼を言われたのは予想外だったな。





(頭突きされたら痛そうだけど)





(きっと多分、いい人)








(よし、わたしも帰ろ)



成瀬くんの気配も既にすっかり消えた廊下に、私も一歩踏み出した。