「あっ、そうだ」 靴箱に向かっていると思い出したかのように洸が口を開いた。 「これからは行先をちゃんと伝えてから出かけるように」 「で、出かけるって程でも……」 「真子」 うっ…… 「わ、わかったよ。気を付ける」 真剣な洸の目に、あたしは反抗できなかった。 「うん、わかればいい」 ――クシャクシャ 「もぅ~~だから髪をぐしゃぐしゃにしないで~~」 頭を撫でるのは洸の癖なんだろう。