「本当にごめんな。あのときはイライラして、つい真子に八つ当たりして……」



「そういえば、何に怒ってたの……?あとから考えても分からなくて」



っ……



「そ、それは……」



「それは?」


純粋そうなクリクリとした瞳。



昔からあの瞳には弱い。




「真子が知らない男と楽しそうにしてたから……」



「えっ……?」



少し恥ずかしくて、声が小さくなっていった。



それでも真子にはちゃんと聞こえていたようで……



「あっ!あれはフルーツタルトを習ってただけだよ!!」



「フルーツタルト……」



「洸とどうにか仲直りしたくて、洸が好きなフルーツタルトの作り方を習ってたの。偶然ケーキ作りが得意な人を見つけて……」



ケーキ作りが得意な人というのが、あの男だろう。