薄手のコートを手に取り、バックを肩に掛けて部屋を飛び出した。 バタバタと色気もなにもない足音を響かせ、階段を駆け下りる。 ――バンッ リビングのドアを勢いよく開けて中に入る。 「ごめん!洸!!」 「……」 「洸……?」 「あっ、いや……」 ジッと見つめられる。 な、なに? 何か変なとこある? 走って下りて来たから、髪型がグチャグチャになった? とっさに髪を触り、顔を隠す。