ガチャン、


朝ドアを開けて、視界の上の方に黒髪をとらえたとおもうと、そいつは「…あれ、」とつぶやいて



「……なんで"みー"、マスクつけてんの」



私の変化に最初に気づいたのは、幼馴染のカズヤ。


まぁ、学校行く前なんだから最初なのは当たり前だけど。




「カゼ」


「うわ、うつる」


ぺしん、と188センチのノッポ野郎は自分の口元に手のひらを当てる。
小学生か。



「てか、熱とかは?」


「んー、鼻とのどだけだからしんどくはない」


「ふうん」


と、相槌を打ちながら幼馴染は私の額に手のひらを当てる。
冷たい!


「ほんとだ、熱は無いみたい」


「カズヤ、手え冷たい」


ふふん、と笑って歩き出す。

私も無言で、それにならう。




「ぶぁーっくしゅん!!」


「お前もうちょっと音抑えろよ」













低血圧の二人が交わした、
いつもより会話の多いとある朝。