この事、華波ちゃんに言いたいな。 「私ね、好きな人が出来たんだよ」って。 近いうちに言えたらいいな。 私は本を開いた。 前に、華波ちゃんから借りた本のシリーズ。 純愛ものなんだけど、すごく面白くてハマった。 続きが気になり過ぎて、時々授業中もこっそりと読んでいる。 だから、気が付かなかったんだ。 ――彼の視線が、どこへ向いていたかなんて。 彼の気持ちを、私はまだ知らない。