「…ら……木原!木原千秋(きはら ちあき)!!」
「はっ、はい!」
「…授業中に居眠りとは、良い度胸だな?」
先生、笑ってるけど目が笑ってないです……。
なんか、嫌な予感が…
「罰として、この問題を解いてもらおうか?」
えぇ〜!?
私、数学苦手なのに…どうしよう。
「先週やったばかりなんだから、当然分かるだろうな」
先生、無理です。
寝起きのせいもあって、余計に分からない。
「え…えっと……」
私が困り果てていると、横からスッと紙が渡された。
小さなノートの切れはしに走り書きで『X=3』と書いてある。
「え、『X=3』?」
「……正解だ。次はちゃんと話を聞いているように」
「はい」
今のって、もしかして…
隣を見ると、夏川君が私に小さくピースをした。