「さてっと。戻ろっか」


よいしょっと華波ちゃんが立ち、私も一緒に立った。

「…ありがと、話聞いてくれて」

「え〜。ははっ、お礼を言うのはこっちの方だよぉ〜。ありがと。ちゃんと言ってくれて」


私達は一時間近くずっと話していた。

華波ちゃんは私がなんで泣いていたのかは分かってたみたいだけど、夏川君の話は聞いてなかったみたい。

「夏川君の好きな人、誰か分かったの?」って聞かれたけど、丁度良いタイミングでチャイムが鳴り、話はそこで終わった。

私は思わずホッとしてしまった。


…だって、言えないじゃない?


自分の好きな人の好きな人を、本人に言うことなんてさ。


チャイムが鳴ってくれて良かったなぁ。