「…木原? どうかしたのか?」

「う、ううん。 何でもないよ。 あっ、そうだ!私、これから華波ちゃんと約束あるから…」

「ん。 じゃあ…また後でな、木原」


…嘘、ついちゃった。


本当は華波ちゃんと約束なんてしてないのに。

なんとなく、あのままあそこにいたら嫌でも知りたくないことを知ってしまいそうで。


それが怖くて。

私はそっと、その場から逃げた。


――さっき考えていた事が、近い未来に知ることになることも知らずに。