その瞬間、私の心がズキッとした。


――もしかして、夏川君って華波ちゃんの事……。

私はそこで考えるのをやめた。

認めたくないんだ、夏川君が誰を見ているのかを。

知っているのに、知らないふりをした。


…正確には、私自身が考えるのを拒んだんだ。


だから私は、気付かなかったふりをして、目の前にあった現実から目を背けた。

知らない。
私は…何も見てない。


無理矢理そう思い込むことにした。