ソッと後ろを見るとやっぱりそこに居るのは不機嫌そうな三上で。
「何…?」
「何じゃねぇよ、お前どうすんだよ」
いきなりの質問に戸惑ってしまった。
「どうするって…何が?」
「婚約の事だよ」
三上はそうきっぱりと言い切った。
少し俯いて何かを考えているよう。
2人きりの廊下で、話し声が響く。
「俺、はっきり言ってお前が婚約者って半信半疑なんだよ」
「…そんなの、私もだよ…」
まさか、まさか、大嫌いなこいつが、婚約者だなんて夢にも思わなかった。
ただのクラスメートから、婚約者へ。
さすがに戸惑ってしまう。

