そうして車に乗せられ20分。
着いたのは豪華そうな料亭。
お父さんは慣れた手つきで料亭の予約していた個室に行こうとする。
私はと言うと慣れてない上に自分がこんな所に来てもいいのか不安になった。
周りをキョロキョロ見渡していると、1つの個室の前でお父さんが立ち止まる。
「陽菜、ここだよ」
う、わぁ…なんか、今更すっごい緊張してきたかも…
行き成り事が進みすぎて、なんとなく実感が沸いてこない。
私の婚約者が、この部屋にいるんだ。
名前も顔も知らない。
知らない人が。
知っているのは同い年…ってだけ。
私はギュっと手を握って暴れそうな心臓を落ち着かせる。
「陽菜、緊張しなくても大丈夫だからな」
お父さんはいつもと変わらない様子でゆっくりと個室の中へと入る。

