お、お父さんの顔がいつになく楽しそうだ。
私は、少し脳裏に不安が過ぎる。
が、しかしお客さんを目の前にした途端、そんな考えは消え去った。
「こんにちわ、陽菜ちゃん」
「あ、こ、こんにち、わ…?」
リビングにはソファーに座りながらコーヒーを飲んでいた中年の男性。
キチッと着られたスーツに、少し白髪が混じっている整えられた髪。
少し見ただけでどこかのお偉いさん的な雰囲気があった。
「あの、えっと…?」
私はその人の正面のソファーにお父さんと並んで座る。
「お、やっぱり並ぶと誠(マコト)と親子なんだなぁ!」
おじさんは私のお父さんの名前を出した。
ニコニコとして、私達を眺めていた。

