Bloom ─ブルーム─

「じゃ、帰るよ。悪いけど、あんたの、里花のバスが来るまで一緒に待ってあげるとか、そういう優しさは持ち合わせてないから」

「いーよ。待たれても困るし」

私も、ふんと鼻で笑い返す。

杏奈の後ろ姿を見送り、私は休憩室の扉を開いた。

長椅子と自販機があるだけの部屋。

専ら3年生や、部活を終えた人達の溜まり場として使われてるけど。

下校時刻を過ぎ、まだ部活が終わらないこの時間は無人……の、はずが。

ガラガラガラっとドアを開いて、そこに1人の男子がいることに気づいた。

「直人?」

「遅ぇーよ」

「なんで?私を待ってたの?」

「待ってたよ。半分物思いにふけってたけど」

「なに、それ?」

プッと吹き出し、自販機に向かう。

「直人も何か飲む?」

「いや。あ、やっぱりコーヒー」

私はコーヒーとカフェオレを買うと、直人の隣に腰かけた。

「サンキュー」

そう言う直人の瞳に力がないのは、数日前から知ってる。

「なんか、話すの久々だね」

「おー」