Bloom ─ブルーム─

「直人が好きなら正々堂々と勝負しなさいよ。こんな卑怯なやり方で何かがいい方向に進むわけないじゃん。

ちょうど友里亜がここにいるんだから、言い足りない事があったら今直接言いなよ」

「な、何よ、偉そうに」

言い返す言葉が見つからないのか、どもって睨み返すだけの杏奈。

ビンタの一発くらいお見舞いしてやりたい気分だけど、相手は女の子だし。

男だったら絶対容赦なくぶん殴ってるとこだけど。

力の入った拳をグッとこらえて、奪っていた携帯を杏奈の胸に突き返した。

その時。

「痛っ。いたーい!」

突然杏奈が顔を歪め、その場にしゃがみ込む。

「ちょっと、何、殴ってるの?」

隣にいた杏奈の友達が私を咎める。

え?指1本触れてないけど?

「いたーい!」

杏奈は大袈裟に何度も叫んでる。

何なの?

「ちょっと、立ちなさいよ。私何もしてないじゃん!」

「やだっ!やめて!」

杏奈の腕をつかんで立ち上がらせようとすると、杏奈はふっと顔を横に背けた。

多分それは、後ろから見てる人達に、私がビンタしたように見せかけるワザ。

と気づいたのは、

「先生!平澤さんがいきなり押し倒してビンタしてきました」

杏奈の友達が私の後ろから来た先生に告げ口した時だった。

振り向くと、数人の生徒が群がっていて、その間を縫って先生がやってくるのが見えた。

「違います!里花は!平澤さんは何もしてないです!」

友里亜が必死で庇うけど、この疑いは多分晴れないだろう。

完全にやられた。

ならば。