Bloom ─ブルーム─

フツー逆じゃない?

「先輩、これバランス取りづらいんですけど」

「うん。気を付けてね」

気を付けてねって!

「しかも先輩、この先登り坂なんですけどっ」

「うしっ!じゃあ体重減らすわ」

後ろで「ふっ!ふっ!」なんて息吐き出してる彼。

2人乗りするのかなって、ちょっとドキドキしたのに!

肩に置かれた手にときめいてしまった自分も、今すぐ撤回。

「減るわけないですよね?」

何ですか、この仕打ち。これならバスで帰りたかったんですけど。

「んじゃ、お先っ!」

「お先ー」

長谷川大樹を乗せて、右側に傾くハンドルで必死でバランスを取り、ひーひー言ってる私の横を涼しい顔でギターとドラムが抜いて行く。

コイツら、絶対私を女の子だって忘れてる。

ギターもドラムもボーカルも。

ブチッ。

「先輩、覚悟して」

「は、はい。って、えぇぇっ?」

結構負けず嫌いだし、私。

ガッと立ち上がると、前屈みで

「おりゃぁーっっっ!」

全身の力を振り絞って、一気に爆走し始めた。

傾くハンドルなんてクソ食らえだ。

そして、さっき追い越した2人をあっという間に抜かし、

「お先!!」

走り去ってやる。

後ろにいる長谷川大樹の事はお構い無しだったけど、なんとかサドルに掴まって、振り落とされるのは免れてるらしい。

それどころか

「すげー!カッコいー!」

なんて、はしゃいでる。