Bloom ─ブルーム─

「これが、俺の相棒」

ふふんと、ドヤ顔の長谷川大樹は結構ボロボロの自転車を自慢気に見せてきた。

「こいつ、チャリの扱いマジで乱暴だから、すぐぶっ壊すんだよ?」

と、ギター。

「そー。もうギアチェンきかないし、ハンドルが右側に傾いてるんだよねー」

「はぁ」

けど、愛着があるのか、この傷はあのときの……なんて、ギターの人と長谷川大樹が盛り上がり始める。

私にはあんまりわからない世界だけど。

それにしても「2年3組 長谷川大樹」とマジックででかでかと書かれた自転車、どーなんだ?

「先輩の持ち物には全部記名されてるんですね?」

「あー、これ?」

「こいつむちゃくちゃ落とし物多いから、新学期始まってすぐ、みんなでこっそりコイツの持ち物全部に名前書いてやったんだよ。優しいでしょ?俺ら友達想いだから」

長谷川大樹の代わりに教えてくれたのは、やっぱりギターの人だった。

結構お喋り好きらしい。

「しかも、油性マジックで。消せないじゃん。けどそのおかげか、このチャリ、カギかけなくても盗まれないんだよね」

意外に気に入ってるのか、書かれた名前をなでなでする長谷川大樹。

そして、「はい、どーぞ」と私にハンドルを握らせた。

私が乗るの?てか

「先輩は?」

「俺?俺は……」

とりあえず差し出されるままに、自転車に跨がると

「ここ!」

私の肩に手をかけて後ろで立ち乗りした先輩が

「最高!めっちゃ気持ちいー!」

こぐ私の上から嬉しそうな声をあげた。