友里亜と山本先輩もいつもみんなと一緒に帰るけど、由紀ちゃんのラーメン屋には寄らずに山本先輩の家に直行したりする。

山本先輩は人気のある有名人だけど、友里亜を見た誰もが『それは勝てない』と思ったみたい。

ひがむ人はほとんどいなく、ビッグカップル誕生!って騒がれていた。

確かに、お似合いの美男美女だ。

中身はおバカくんと天然ちゃんなんだけど。

今日は1学期の終業式で、これからデートなんだって。

ラーメン屋に着くと「じゃ」と2人乗りした友里亜達は自転車を止めずに去って行った。

「いーなー。俺も彼女作ろうかな」

健さんはそれを眺めていつも悔しそうにこぼす。

ドラムは無口なくせに、なぜか彼女がいるらしい。

年上のお姉さんと付き合ってるんだって。

練習する為に借りたスタジオのスタッフだとか。

この人がどんな風に恋を発展させたのか、興味津々なんだけど。

「ちっちゃいのによく食うねー。太るよ」

店に入り、“ゆきちゃんラーメン”を注文する私に、健さんがいつものごとく嫌みを言う。

つついても平気だと思われてるのか、どこに行ってもやっぱり私は友里亜みたいにお姫様扱いはしてもらえないらしい。

「私は食べたら上に伸びるはずだから、いいんです」

2階へ上がって行く健さんとドラムの背中に向かって言い返すと

「伸びてないよ?」

隣の大樹先輩が突っ込んだ。

「先輩もね」

「あ、いてー。いててて。傷ついた!気にしてるのに!ひどいわっ」