しばらくして
叫び疲れたのか彼が戻ってくる
わたしはまだ緊張していて
うまく話せないでいた。
地元民くらいしかこない海は
平日の18時すぎなど
誰もいるわけがなかった。
だんだん風が強くなり
空が曇っていたので
その日はなんだか肌寒かった。
彼にトレンチコートを渡す。
すると彼はそっと
トレンチコートをあたしの肩にかけた。
なんだか今日は
寒くなる予感がしてたんだ。
風邪ひかないように
これを使っていいよ
またドキドキが増えた。
彼は半袖だった。
あたしは大丈夫だから
そっちのが寒いでしょ?
きていいよ
すると彼はとても自然に
まるで当たり前のように
じゃあ一緒に使おう
とあたしにひっついてきた。
また、ドキドキ。
それから他愛のない話を
たくさんした。
お互いの過去も話した。
まるで、お互いがいなかった
過去を埋めるかのように。
そして帰り際彼は
トレンチコートで二人を覆って
そっとあたしにキスをした
