あたしの証【完結】

「とにかく帰るぞ!きょうさん、すみません、なんか」

「いいよ、あかりちゃん何かわからないけど…また来てね」


にっこりと笑うきょうさんにあたしは笑顔で返した。
絶対、また来ます。

そう、言葉には出来なかったけど、心の中で返事をした。



スタジオを出てから、沈黙で歩くあたしとなつお。


その沈黙を破ってくれるのはいつだってなつおなんだ。


「…どうした…?」


優しく。
不安げに。

あたしに気を遣いながら問いかける。

だからあたしは笑顔になれる。
笑顔でなつおに言うんだ。


「なんでもないよ!」

って。


もちろん、なつおは納得なんかしないだろうけど。
あたしは姉キャンから聞いた話を言うことは出来ないし、問うことは出来ない。

今、あたしはなつおが好きなんだ。


複雑な顔をしてるなつおに、悟られまいとあたしはわざと明るい声で続ける。


「ねえ、今日の刺青触っていい?」

「…………それって誘ってる?」

「え?」



あたしは自分の言葉を思い返し、赤面した。
あ、あたしなんてことを…!!!

恥ずかしい…。

真っ直ぐ見れないから横目でなつおを見ると、同じ様になつおも顔を真っ赤にしていた。

ゆでダコの様ななつおをあたしはまじまじと見てしまう。


「な…なんだよ」


照れ隠しのそれ。
あたしにはくすぐったかった。


「…ううん、なんでもない」


そう言ったあたしだけど。
ニヤニヤしてしまうのは止められない。