「もしもし!あかり?!」
ワンコールで出るなつき。
電話越しで聞こえる彼の声にあたしは目頭が熱くなる。
「ごめん、なつき、今行くから。
詳しい事情は後で話すよ」
「もう、もう…いいんだ」
「え?」
「俺のこと、忘れて」
「なに言ってるの…?」
「…ごめん」
ぶちっとそこで一方的に通話が遮断された。
…………ど、ういうこと?
全く理解が出来なくて。
もう。
拒絶は……嫌だよ…。
あたしはいないと頭ではわかっていたけど、この目で確認しないと夢に思えて。
薄暗くなってきた渋谷のモアイ像の前にただ。
立ち尽くした。
もう、なつきの残り香さえ残してない待ち合わせ場所。
タバコの煙が目に沁みる。



