「ゆうやさん!」
バタバタと大きな音をたて、騒がしく病室に入ってくる。
その声はあたしにしたら懐かしくもあり、優しくもあり、嬉しくもあり。
と、同時に切なくもあって。
「大丈夫でっ…!」
あたしを見つけて、はっとしながら気まずそうに口を閉じる。
れんはあたしを嫌いになんかなってない。
それがわかってるあたしは、胸に温かいものが溢れて充満する。
「…咲夜、悪いな、もう大丈夫だ」
「ああ、そうで、すか。よかった。
あ、これ」
そう言いながら色鮮やかな花束を出す。
「お前が花束…?」
「…なんも思い浮かばなくて」
「ま、鉢植えじゃなかっただけましだな」
「そこまでバカじゃないっすよ」
「あらー綺麗な花束、花瓶花瓶っ!」
そう、言いながらりなさんは花瓶を探しに出て行った。
三人残された病室。
あたしは気まずい沈黙に耐えられなくなって
「あー…一旦家に帰るね!
お風呂入りたいし」
「ん、わかった」
二人で話したいこともあるだろうし。
あたしは静かに病室を後にした。
れんの視線は痛いほど感じていたけど、気付かないふりをした。
きっと。
これがれんにあたしが出来る最後の優しさ。



