あたしはそんなれんさんの頬に手を添える。
「…れん…」
初めての時に。
呼び捨てにしたいと思ってた。
今が、その時なの?
あたしの声にはっとして我に返ったれんさんは
「ごめん!!!!」
そう、言いながら必死にあたしに謝ってきた。
衣服を身に纏わせると、れんさんはなおも頭を下げてくる。
「いいよ、怒ってないし」
「ううん、俺。
大事にしたいって思ってたのに、不安になってたからってこんな感情任せに抱くなんて」
「……」
「ごめん、あかり」
「ううん、あたしもれんさんのこと不安にさせてたんでしょ?」
「……」
「ゆうやとは本当に何もないんだよ」
「…俺、やっぱり信じられなくって。
ゆうやさんは俺から見ても完璧で。
あんな人を好きにならない女なんかいるのかって。
ましてや毎日一緒にいるなんて余計に不安で」
「そうだよね。
でも、本当に安心して。
ゆうやには本命がちゃんといるから」
「え?」
「誰とか言えないけど、ゆうやにはちゃんと恋人がいて一緒にその人も住んでるの」
「…初めて聞いた」
「うん、言えないと思う。
だから、今まで家も教えられなかったの。
ゆうやが教えてないのにあたしが教えていいのかって」
「そうだったんだ」
「あたしの部屋ちゃんとあるから、寝泊まりは別々だし。
だから、心配するようなこと本当にないから。
ってか、あたし、ゆうやのことはお兄ちゃんみたく思ってて。恋愛対象ではないとゆうか」
「…本当に?」
窺うような不安げな瞳。
あたしはこんな瞳を知ってる。
過去、愛した男の人にそっくりなこの瞳。
不安に苛まれてる瞳。



