「…似合ってんじゃん。」

「………あ、の、その」

「ん?」

「お金」

「ああ、いいって」

「いや、でも」


あたしの本屋の月給何ヵ月分かわからないぐらいの総額。
それを見ず知らずのあたしに。
ぽーんと。



不景気といわれてる世の中なのに。

こんな人もいるんだと。
自分の視野の狭さに恥ずかしさを感じた。

なんか…あたしも仕事しないとな。

いつまでもずっとゆうやに出してもらうわけにもいかないし。



次に向かった場所は美容室。
そこの店員はゆうやのことを知ってるのか、皆しっかりと挨拶していた。
そして、待たずに奥へと案内される。

…お金持ちって凄いな。


「こいつ、この洋服に合うように適当に髪とメイクよろしく」


そう言うとゆうやはやっぱりソファに座ってしまった。