ちょっと申し訳ない気持ちと、それ以上のにやけ。


「何ニヤけてんの?

笠本さん、その顔本当に気持ち悪いんだけど」


こんな毒舌ですら愛しく感じるよ。


そんなやりとりをしながら駅で歩いていると、

橋本くんは誰かに声をかけられた。


「お、葵じゃん!」

短髪で少し染めている男の子。

「お前元気にしてたかよ!」

中学校の頃の友達かな?


「ああっ!もしや彼女!?まじで?」

橋本くんの返事も聞かずにベラベラと話しかける。


「俺まだてっきり薄井と……ってあ、ごめん!」

ああ。
本当この人、空気読めなすぎだよ


そこまで言ったら分かっちゃうじゃん……っ。

橋本くんは前に付き合ってた人がいたこと。